昨年国土交通大臣政務官を務めていた際に力を入れて取り組んだ政策の一つでありますインフラ事業の海外展開について、ゴールデンウィークを利用し5月2日~6日の間、安倍総理も友好関係を強く押しすすめておりますフィリピンに伺い具体的な案件についての視察をして参りました。
熱気と若さみなぎる発展の真っ只中
フィリピンは人口約1億人(あくまでも推定でしょう)で、首都マニラのあるルソン島、セブ島、ミンダナオ島等多くの島々で構成され、昨年秋にはドゥテルテ新大統領が就任し政治は一定の安定感のもと、経済成長率6パーセント程度と言う勢いを持ち始めたアジアの発展途上国であります。
マニラ都心部には国民の平均年齢23歳と言う若い人が溢れ、朝から深夜まで想像を絶する程の交通渋滞であります。交通機関はまだまだ本当に未熟で「ジープシー」と呼ばれるどこでも自由に停車出来る小型バスが多く走り、大型市内バスは乗客が乗りきれないような状態で運行しています。
まだまだ発展に追いついていない交通インフラ整備に対する日本への期待
鉄道は、国鉄が現在約15kmと、都市鉄道1号線2号線3号線がありますが、都市生活に効果的に機能していないようで、これから日本のODA事業によってこの都市鉄道の延伸や国鉄バタン駅との連結を進める計画があり、鉄道1号線(時速20km/h程度)に乗車するなどさせてもらい、まさにその現場を視察すると同時に、ライトレールマニラのシン総裁と会談させていただきました。
シン総裁からは日本の技術協力や、交通政策のアイデアについて大変な期待が表明され、強力なサポート要請を受けました。シン総裁は前道路交通大臣でもあり大変政策的に理解をされていましたが、日本とは随分事情が違う様で、実際の政策を具体的に落とし込むには政府内の利害の調整や財閥等との関係性から、悩み多い状況の様でした。フィリピンの今後の発展には必要不可欠な事案であると改めて痛感すると同時にこの事業の推進にバックアップしてゆきたいと思わされました。
島国フィリピン最大の貿易港を視察
次の日はマニラ港のフィリピン港湾庁を訪ね、以前サンティアゴ総裁が来日した際に相談を受けていた新しいマニラ港の整備計画について実際の港内の案内を頂き、大まかな計画についての説明を聞かせていただきました。物流エリアを拡張し、スラム街を一掃し道路アクセスと連結する等の方向性の話があり、このマニラ港のマスタープランの作成についての協力要請がありました。早速正式な要請を大使館経由で出してもらったら我国としても協力をしてゆきたいとのやり取りをさせて頂きました。
建築ラッシュの光景にみる今後の公共交通、物流システム整備の重要性
鉄道にしても港にしてもこの国にとっては重要度の高いプロジェクトであり、我国のインフラ技術の蓄積を是非提供したいし、まさに質の高い提案ができるよう国交省とともに取り組んでゆきたいと思います。
南国の国民は、明るく親しみやすい感じはしますが、あまり勤勉ではなかったり、あまり生活のルールを守らなかったり、あまり頑張り屋が多くないようで、みるみる急成長をするような予感は感じませんでしたが、新しい高層ビルが数多く建ち始めおり、ニュータウンやショッピングモールあちらこちらに出来ておりました。確実に発展過程にあるのは間違いなく、だからこそ公共交通や物流システムがまさに必要だと強く感じました。
それぞれの国はそれぞれの歴史を持ち、それぞれの事情の中で進化しようとしています。この国の親日感は今後の日本との関係性においても必ず良い物をもたらすと言う実感を持って帰国いたしました。