目覚ましい発展をとげる東南アジアの国づくりに、日本が果たせる貢献を提案する旅
6月14日から18日にかけて国土交通大臣政務官として、ベトナム・カンボジアへ出張に行って参りました。
主な目的は両国へのインフラを中心とした国際貢献のためのプロジェクト視察や、両国の担当大臣等とのバイ会談であります。また、現地で頑張っている邦人企業の関係者との懇談もたくさん行ってきました。
両国とも極めて親日的であり、日本に対する大きい期待感を持って熱い眼差しでの多くの要望を頂きました。それぞれまだ発展途上でありますが、両国は現在急成長中(両国ともGDPの成長率は約7%)で、平均年齢が若く、人口が急増中であり、まさにこれからという基礎的な国づくりのお手伝いを期待しているという感じでありました。
日本がベトナム・カンボジアのためにできること、日本であることのメリットを伝える
私からは、日本の提案の特徴は
①高い技術に裏打ちされた質の高いものであること
②親切であくまでも相手国のためを思った誠実なものであること
③アフターケア等長い視点で運営や管理を含めた考えを持ったものであること
等、他の国々とは違って良質なものであること等を改めて説明するとともに、それらのことを両国にしっかりと訴えピーアールを行いました。
私にとって2回目のベトナム訪問。現地で驚嘆した発展のダイナミクス
12年ほど前にハノイに行き、国会等の見学をしたことがありました。その時はまだ古い空港で電力事情があまり良くなく、道路は舗装されてなく、農地では牛が農機具という日本の戦前を連想させるような感じでありました。“正直まだまだだなぁ”と率直に思った記憶でありました。
しかし、今回まさにびっくり仰天でした。
大きな新空港に降り立つと、立派な片幅4車線の高規格な道路で市内までつながっていました。途中には日本のODAで建設されたニャッタン橋がそびえ立ち、相変わらずたくさんのバイクでありますが、トヨタのレクサス等、高級な自動車がバンバン走っておりました。
「10年余りでこんなに社会は発展、進化するものか」と言葉が出なくなるほど、驚愕でありました。社会が成長することは率直に本当に素晴らしいものだと感じました。
アジアの国々への積極的な支援が、日本のためにもなることを再認識
発展過程にある国は、経済の発展を追いかけながら国の基本的なルールや未整備のあらゆる制度を新たに作らなければなりません。お金も調達しなければいけませんし、法律を作りながら政治の安定を図らなければなりません。
日本は、特にアジアの国々に先進国として我が国が蓄積してきた経験を活かし、ハード面とソフト面の両方から出来る限りの支援を積極的にすべきだと考えます。今回の出張は、信頼できる友好国として多くの同盟国との関係を深めてゆくことは、安全保障の面においても経済的にも本当に大切であるという認識を改めて感じた貴重な経験となりました。
今回の行程を写真で紹介します
■ベトナムのドン交通運輸省副大臣とのバイ会談(6月14日)
ベトナムの首都ハノイに到着後、早速ドン交通運輸省副大臣とのバイ会談にのぞみ、南北高速鉄道プロジェクト(ハノイ・ホーチミン間・約1600km)を中心に、インフラ整備の協力について議論しました。
■フォン・ホーチミン市人民委員長とのバイ会談(6月16日)
ハノイからベトナム最大の都市ホーチミン市に移動し、市トップのフォン人民委員長とのバイ会談を行いました。日本企業が協力している地下鉄建設や地下街開発を中心に意見交換しました。
■ビンズン省ナム党書記長とのバイ会談(6月16日)
ホーチミンの北部に位置し、工業団地として急成長しているビンズン省を訪問し、省トップのナム党書記長とバイ会談を行いました。日本企業も約300社進出しており、新しい住宅団地の建設や下水道建設での貢献のあり方について、昼食をはさみながら意見交換しました。
■ハノイの現地視察
日本のODAで昨年1月に開通したニャッタン橋(日越友好橋)により、空港とハノイ市内の所要時間が、完成前より30分以上短縮されました。
ハノイの高層ビルの展望台から市内を眺めると、いたる所で超高層ビルが建設されていることが分かります。一方、市街地を歩いてみるとバイクが所狭しと行き交っており、道を渡るのも命がけでした。
■ホーチミンの現地視察
ホーチミンでは、日本企業が協力する地下鉄建設や地下街予定地を視察しました。このまま事故ゼロで完成させてもらいたいと思います。来月には高島屋がオープンし、将来的には地下街と直結するとのことでした。
■カンボジアの3大臣とバイ会談(6月17日)
最終日の午後は、カンボジアのスン・チャントール公共事業運輸大臣、チア・ソパラ国土整備・都市化・建設大臣、イット・ソムヘーン労働職業訓練大臣と相次いで会談しました。メコン地域の物流ネットワーク構築のためのインフラ整備、土地の登記制度の確立、急増する自動車の整備士の養成など、日本が貢献できる分野をPRしてまいりました。
■カンボジアの現地視察
首都プノンペンにて、スラム街を視察しました。ここは、もともと公務員住宅であったのが、内戦後の混乱に乗じて様々な人が住むようになった場所であるとのことです。粗雑な増改築や老朽化などで大変危険な状況ですので、住人の居住権に配慮しつつ、建て替えを進めていくことが必要です。
日本のODAで昨年4月に開通したつばさ橋により、これまで船で行き来していたメコン河を自動車で渡れるようになりました。しかし国道においても、未舗装で土ぼこりが舞ったり、雨で冠水するなど、まだまだ道路事情は劣悪です。