今、学校の部活動は、今までのやり方では活動の維持が困難になる中、地域との連携・協働による持続可能な活動環境の整備を目指して改革中です。
私は現在、自民党のスポーツ立国調査会で運動部活動の今後の在り方を考えるプロジェクトチームの座長を務めています。
この度、自民党の広報誌「りぶる」にて、部活動改革の目的や座長としての考え等が取り上げられました。
紙面では
・なぜ運動部活動の改革が必要なのか。
・運動部活動の改革についてこれまでの政府の取り組み。
・運動部活動の改革を行う上での課題や、その進展に伴う変化の見通し。
・新しい地域スポーツの在り方についての思い。
などの項目で8ページにわたって記事にしてあります。
りぶるは会報誌で読める方が限られておりますので、その紙面をまとめ、お伝えいたします。
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少子化と学校の働き方改革が進展する中で子供たちがスポーツをする環境を確保
社会が目まぐるしく変化し、少子化が進む日本において、子供たちがスポーツをする環境を確保するため、運動部活動の改革が求められています。
なぜ改革が必要なのかというと、少子化で昔に比べ部員が減り、単独の部活動ではチームが組めないという事態も出てきており、学校だけでは子供たちに豊かなスポーツ環境が保証できなくなっていること。また、今の学校現場は部活動に費やす教師の負担が大きく、なり手不足の一員となっており、教師の働き方の是正の必要もあります。
部活動の地域連携、新しい地域スポーツの在り方を検討
政府は部活動の地域連携、地域クラブ活動への移行による新しい地域スポーツの在り方を検討し、運動部活動改革に取り組んできました。令和5(2023)年度から令和7(2025)年度までの3年間を「改革推進期間」と位置付けています。
プロジェクトチームでは、現場で活躍するスポーツ関係団体・地方自治体・民間事業者等の説明や意見、要望等を丁寧にヒアリングしながら、鋭意議論を重ね、スポーツが健康や地域コミュニティーの活性化につながる仕組みづくり等を検討しました。そして、どうすれば地域連携・地域クラブ活動への移行が実現できるかという観点で、令和の時代にふさわしい地域スポーツの在り方を考え、2023年5月、政府に対しこれまでの議論をとりまとめた提言をおこないました。
PTが提言した部活動改革の具体的な仕組み
要望項目の一つが「新しい地域スポーツの創造と部活動改革」です。
具体的な仕組みとして、
- ・地域スポーツ推進体制の構築
- ・スポーツ指導者の量と質の確保
- ・安全確保の体制づくり
- ・地域スポーツの活動拠点づくり
の四つを挙げ、取り組みの強化を求めています。
地域連携や移行をきっかけにした様々なメリット
地域連携や移行が進むと、いろいろなスポーツが柔軟に楽しめるようになると思います。今はまだ、多くの学校がこれまで通りの部活動を行っています。休日の活動が地域へ移行されると、例えば学校では野球部、地域ではサッカー部に所属する人などが出てくるようになるでしょう。地域への移行をきっかけに、自分たちで独自に考えたこと、地域スポーツにしかできないことをどんどん試していただきたいと思います。子供から高齢者まで多様な人がスポーツに親しみ、教師と生徒だけの関係性では得られなかった、さまざまな人たちの交流から〝学び〟を体感することがでる意義は大きいと考えます。
学校現場の人たちと意見交換すると、学校での部活動に対する期待がいまだに根強く、部活動全てを移行させるには時間がかかりそうです。しかし、すでに取り組みをはじめ、大きな成果を挙げている地域もあります。
例えば、長崎県長与町では教育委員会の教育長が旗振り役となり、休日の運動部活動全てを地域に移行しました。運営は、長与町に唯一ある総合型地域スポーツクラブが担い、教育委員会、町立中学校と連携して進めています。
また、新潟県では県がリーダーシップを発揮し、教育委員会やスポーツ協会、市町村、総合型地域スポーツクラブなどを巻き込んで地域連携・移行を進めています。
もちろん移行にあたっての課題もあります。
その一つが新たな経費が必要になることです。質の高い指導者に対する手当、保険、移動費など費用が掛かってきます。親の多くは、子供が英語やピアノを習うための月謝には納得しますが、地域クラブ活動にお金がかかることには抵抗を感じる方が多いようです。こうした意識を変えていくことも改革を行う上で大切だと思います。地域スポーツの実施主体が運営を続けていけるよう改革実現に向けてご理解いただけると幸いです。
生涯にわたってスポーツに親しむ環境づくりとWell-beingの向上を実現したい
私は、新しい地域スポーツの在り方は、それぞれの地域でどのように進めるのかを議論し、独自の推進体制をつくることが重要だと考えます。指導者についても、例えば総合型地域スポーツクラブの職員が担ったり、企業・スポーツ団体の所属アスリートや体育系大学の学生・卒業生などが参加したりと、いろいろな選択肢があっていいと思います。
また、引退したトップアスリートがセカンドキャリアとして地域スポーツの指導者になれば、これまで追求してきたことの延長線上で活躍の場を広げていくこともできます。 活動拠点については、各地域で事情は異なります。総合型地域スポーツクラブの専用施設がないところでは、学校の体育館や町営のグラウンドなど、なるべく公共の施設を有効に活用していただきたいと考えています。
スポーツは、一部の競技選手や運動が得意な人だけのものではありません。それぞれの人の適性や好みに応じて、自由に楽しむことができる、全ての人のものです。スポーツは楽しいし、健康になるし、友達もできます。Well-beingを実現するツールとして大きな可能性があると確信し、プロジェクトチームはスポーツ振興を加速化するための政策立案に全力を尽くしてまいります。
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全文は「りぶる」の7月号にてグラフ等も用いてわかりやすく掲載されております。
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