昨年10月から約10ヶ月間、国土交通大臣政務官という役職を務めさせて頂きました。
政府という立場での政治家としての経験は、私にとっては緊張感溢れる毎日の繰り返しであり新鮮で本当に有意義なものでありました。
大臣政務官という役職は、大臣、副大臣のサポート役でありますので、大臣に代わっての海外出張を始め、国会での答弁や記者懇談会なども行います。まさに責任ある立場で失敗や失言の許されないものでありました。
また、組織の一員として担当部局との政策議論や取りまとめを行う中で、総合的に調整するような仕事も多くさせて頂きました。そこで中でも記憶に残る仕事のいくつかを振り返ってみたいと思います。
政務官就任時
政務官会議
国の代表として外交デビュー
まずは、カザフスタン、ベトナム・カンボジア、中国と3回の海外出張を行いました。
主な目的は海外へのインフラの売り込みと中国では、日・中・韓の物流大臣会合でありました。安倍総理の指示の下、日本のインフラ技術は世界最先端であるにも拘らず、価格が高いことや売り込みに戦略性が足りなかったという反省を踏まえて官民上げてしっかり取り組もうという一連の大きな流れの中でのフォローアップ外交であります。
行った先で行う相手国の大臣や副大臣とのバイ会談は私にとっては初めての経験であり、会談が始まると事務方の準備を超えて話が進展しお互いの友好関係が深まるとともに、新しい約束に至るようなことまであるなど大変緊張感溢れるものでありました。
カザフスタン出張にて
ベトナム ドン副大臣とのバイ会談
日中韓物流大臣会合にて
政府側の立場としての答弁で感じた責任の重さ
また、国会の委員会において政府側答弁も数多く致しました。
質問者からの内容が出てくるのは遅い時には前日の深夜になることも多く、当日の朝7:00頃から答弁のためのレクチャーを受けることもしばしばです。
答弁内容については事前に役人が用意したものがありますが、質問者の中には事前の質問内容通りでない意地悪なものや、当日急に出てくるものまであり、そこはその場での真剣勝負になります。まさに“責任ある立場とはどういうものか”ということを国会という現場において痛感させられた経験となりました。
国会での答弁
心に痛烈に刻まれた熊本地震での経験
それから忘れられないのは4月14日発生しました熊本地震であります。
政府としてのやるべき役割を瞬時に検討し判断し、そしてそれを組織力を発揮して解決に当たり、結果を出すという失敗出来ない作業に参画したことはこの10ヶ月の中で最も貴重なものでありました。
まさに「災害は忘れたころにやってくる」「災害はいつも想定外」とは言ったもので、それを踏まえての社会インフラの重要性や、事前の準備としての防災計画や防災協定の必要性を認識させられました。特に今回の地震が九州で起きたということもあり、地震後、毎週末は九州地整に赴き本省との連携もさせて頂く中で、国交省内における災害対応をしっかり勉強させてもらいました。
熊本地震九地整対策本部にて
熊本地震被災地視察
政治家としての覚悟が一層強まった政務官経験
これらの他にももっともっと貴重な経験や多くの視察をさせて頂きましたが、そこで私が痛切に感じたことは、与党の政治家はその言動においても国の運営に直接影響を与えることのある責任ある立場であるということであります。
まさに一層の覚悟を持って仕事をやらなければならないという自覚を再確認したことであります。そしてその上で大事なことは、そもそも国会から大臣他政務三役が役所に来てマネージメントを行う日本の議員内閣制においては議員と政府との関係において、表裏一体の部分と極めて緊張関係を持って刺激しあう部分がバランスよく重なり合うことが重要だということであります。
官僚の持っている高度な専門性と常に国民と直接触れ合い、正確な国民目線を持った政治家が共同作業でつくるのが法律であると思います。両者が慣れ合いにならずにお互いが緊張感を持ちながら丁々発止しながら国民のため、国家の将来のためにすすめていくのが政策であり、政治であると深く感じたこの10ヶ月でありました。大変忙しく、緊張の多い、私の政治活動にとって本当に勉強になった充実した国土交通大臣政務官でありました。